東洋医学コラム「仙道の理論に学んでしまった!」

東洋医学の古典、『黄帝内経・素問』によれば、整体は、「導引按蹻」といいます。「導引」とは、今でいう気功、つまり自分で体を動かして歪んだ身体と身体のエネルギーの流れを元の正常な状態に戻す術のことです。また「按蹻」とは、整体のこと。つまり他人の歪んだ身体と身体のエネルギーの流れを元の正常な状態に戻す術のことです。

人を健康にする術は、導引按蹻の他にも、鍼灸、漢方などありますが、『黄帝内経・素問』には、特にストレス社会においては、導引按蹻が合っていると記されています。
現代の「ストレス社会に効く整体」を謳うぜんき整体では、日々この導引按蹻の実践をしているわけであります。

さて、『中国仙道の秘密』赤木厚史著 潮文社という少し前の本を読み返してみたら、その中に、整体でいう上述の「元の正常な状態に戻す術」について、興味深い文面をみつけましたので、簡単にご紹介させていただきます。

仙道では、人は三宝と呼ばれる最も大切な3つのエネルギー「精・気・神」を持っていて、そのエネルギーの変化により生き、生きることにより消耗し老いていく。
その関係の順序は、霊能→元気→精力→精液となる。
補足説明をすると、霊能は「意念」の力によって元気となり、元気は「陽気」の力によって精力となり、精力は体の芯の力となり、また子を宿すための精液に有形化する。

つまり、
霊能→(有情化)→意念→元気→(有感化)→陽気→精力→(有形化)→精液となる。

だから、仙人になるためには、この逆を辿ればよい。逆を辿れる修行をすれば良いのである。
仙道の修行のエネルギーの変化
  精液→精力←→陽気→元気←→意念→霊能

上記をもう少し解釈すると、
人は天地からもらった神気=天の気を吸って、地の気(食物)を食べることによって、元気を作る。そして作った元気を体にまわして活動します(精力→精液や運動消費)。この流れは消耗の流れです。仙道は仙人の修行の道ですから、この逆のエネルギーの流し方を知り実践すれば、不老不死になるという理屈が成り立つわけであります。

現実、不老不死には成り得ませんが、整体や気功体操を行うということは、健康な時の元の自分に戻す、という実践です。毎日の臨床の中で、実際に体に触れながら整体施術をしていますと、エネルギーの偏りや流れを実体的に感じるものです。そんな日々の中、仙道による気の説明には、腑に落ちるものがありました。

東洋医学では神というエネルギーは、脳のことといえます。この脳の力で意念し元気を作ることができます。ストレス社会での分かりやすい例は、疲れているときでも「よし、やるそ!」と意識で奮い立たせて元気を作り仕事をしていますね。極度に精力気力を消耗するわけです。
今回は、ストレス社会のための整体実践を、改めて見直すきっかけができました。

以上、何気なく本棚にあった仙道の本を手に取ったら、以外にも腑に落ちてしまったという整体師の徒然でした。

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